君のチカラで!

ものがたり

勇気のかけら

新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14

13

(こんなに戦車を大切にしているおじいさんの為にも、戦車を返えそう!)
「修理はまた僕も手伝います。でも、もう少し待っててもらえますか? あの戦車はとりあえずお返しします。
まずはこの一件を片付けて……も、もちろん、ぶ、無事に帰ってこれたらの話……で。で、修理のお手伝いが出来る、」
はっきりとした口調だったはずなのに、最後の方は自信がなくなってきて、聞き取りづらい小さな声になってしまった。
さっきまであったはずのやる気は、どこに行ってしまったんだろう? だから、僕が最後までしゃべる前に、
「なんだって? 返す!? じゃと!」
「え、ええ。今のままでまた山へ向かったら、今以上に酷い状況になってしまうだろうし……」
「確かに……確かにそうじゃが、今はそんなことを言っている場合じゃないだろう!わしも鬼じゃない。
地球の危機だったら、存分に使ってくれてもかまわん。あいつもそうやって散っていくのを望むじゃろうて。」
おじいさんはそう言うと、窓から見える戦車をチラッと見た。おじいさんの顔は、なんだかちょっと寂しそうに見える。
「で、でも、そんなもったいない! あんな凄いのを……巨大なロボットは、飛行音は覚えているんで、近づいてくる時は、
多分……分かります。あの轟音ですからね。だから見つかる前に、どこかに隠れたりすればきっと大丈夫、だとは思うんですが……
それに、闇雲に突っ込んでいっても、きっと壊されてしまって……」

僕はそう言うと、山で見たあの巨大なロボットのことを思い出した。砂漠で似たようなロボットに遭遇した時は、
一応破壊は出来たけど、戦車も壊れた。また遭遇するとなると、今度はボロボロになった状態だ。
たとえ突破できたとしても、その先は? 全く予想できない状況で、僕達は勝てるのだろうか?
そして、別の事も思い出す。ニンテンやアナの不思議な力、PSI。次々と集まっていくメロディー。
僕は途中からだけど、ニンテンが体験してきた未知の敵との戦いと今までの冒険を見てきている。
僕は何とか溢れ出てきた不安を押し込んで、
「たとえ凄い兵器に頼って突き進んでいっても、このままじゃダメなんだ。勝てない。僕、そう思うんです……!」
「ボウズ……」
「だから……今はお返しします。こうやって3人を助けられたことだけでも良かったです。本当に助かりました。」
(怖い……けど、今度はそのまま山へ……!)

「そうだな……力だけじゃ……奴らに勝てねぇ。」
突然、ベッドの方から弱々しい声が聞こえた。
「!!」
(て、テディ!?)
「テディ! 気が付いたのか!」
僕達は一斉にベットに駆け寄る。今はあのサングラスは外してある。テディは顔をしかめながら、うっすらと目を開いた。
「ふん。ブラブラ団のボスが、メガネ野郎を押しのけて付いて行ったっていうのによ。しかもそいつに助けられちまった。」
そう言うと、僕の方を見ながらふっと笑った。メガネ野郎……って言うのがやっぱり気にかかった。
でも、ライブハウスで言った同じ言葉とは思えない迫力のない声だ。
最初の印象は正直あんまり良くなかった。怖くて恐ろしくて。でも僕は知った。彼の性格はそれだけじゃない。
「君はニンテンとアナを庇ってくれただろう! もし、僕が行っていたらもっと大変なことになっていたよ!」
僕の言葉にテディはまた笑った。そして開いた目を再び閉じてこう言った。
「ああ、そうだろうな……だから俺が行った。俺自身の手でカタをつける。でも駄目だった。身をもって分かったぜ。
……よく来てくれた。もしお前が来てくれなかったら、どのみち助かっていなかっただろうぜ。ありがとうな、ロイド。」
「て、テディ……」
僕はちょっとビックリしてしまった。まさかテディから口から僕に向かってこんな事を言われるなんて。
こんなにボロボロなのにしっかりとした口調で。そして今度はちゃんとロイド、と名前で呼んでくれた。
「この前は……まぁなんか色々とごちゃごちゃ言ったような気がするけどよ。今はそう思っていないからな。
その、悪かった、な。見た目の印象なんかで決めちゃいけねぇな。お前は見かけによらず、大した奴だったって訳だ。」

テディは少し照れながらそう言った。でも謝らなくちゃいけないのは僕もだ…!!
「ぼ、僕だって、テディの事を誤解していたよ。凄く怖くって、僕を残して山に行く事が不満だった。
本当に信頼していいのかな……? って疑問が正直、心のどこかであったと思うんだ。
でも、違った。仲間を思うのはブラブラ団のメンバーだけじゃなかった。
宇宙人との戦いに協力する。その気持ちを聞いてた時点で信頼してなかった僕が馬鹿だったと思うよ……!」
「どうやらテディも君も、お互いの本当の心の中の気持ちが分かったみたいだね。」
おじさんがそう言ってくれた。初めて会った時、あんなに反発しあったのが嘘みたいに思えてきた。

その時、隣の部屋から声が聞こえた。ニンテンとアナが寝ている部屋だ。どうやら2人も意識が戻ったみたいだ。
そして、この部屋の開けて最初に僕の姿を見つけて少し驚いているようだったけど、
ベッドに横たわっているテディの姿を見て、ニンテンとアナの顔色が青くなった。
2人ともベッドに駆け寄ったけど、アナの方はショックで何も言わず涙を流し始めた。

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