君のチカラで!

ものがたり

勇気のかけら

新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14

6

「……今、世界が大変なことになっていると言うのはおそらくご存知だと思います。
実は、宇宙人が色々な事件を起こしているんです。砂漠にも、変な生物やロボットがいたでしょう?」
おじいさんは戸惑いつつも頷いた。
「僕達はそのために旅をしていたんです。子供の僕達だけど、少しずつ宇宙人の懐[ふところ]に近づいているんです。
……それでもやっぱり力不足なんです。砂漠で巨大なロボットに襲われた時もそうだった。もし戦車がなかったら……?
そう考えると、僕たちは確実に全滅していたと思うんです。」
僕はそこでいったん区切り、ゴクリと唾を飲み込み、再び続ける。
「今、僕の仲間が一足先にホーリーローリーマウンテン……宇宙人の元へ向かっています。
きっと、もっと強力な敵が居ると思うんです。もしそいつに襲われたら、全滅どころか地球の危機にもなるかもしれません!
だから、今直したばかりの戦車ですけど……よかったら、しばらくまた貸してくれませんか……?」
そういって僕は頭を下げた。直すのを手伝うと言った時の少しの希望とは、このことだったのだ。

(ニンテン達は自分達が何かあったときに手助けして欲しいと言っていた。……けど、それじゃ遅いんだ。)
何が起こるか分からない。事が起こる前に、助けに行って、合流したほうがいい!! それが、僕の出した答えだった。
「おいおい、ちょっと待つんじゃ……貸してやりたいのはやまやまじゃが、見て通り古い戦車。
今は何とか直したが、今度壊れるとしたら、完全に壊れるかも知れんぞ? そん時はお前さん自身も危ないぞ。」
おじいさんはオロオロと心配しはじめた。以外に彼は小心者なのかもしれない。
「それは……多分大丈夫です。砂漠の時は不意打ちだったけど、今度はこっちから向かってやるんです。」
それを聞いたおじいさんは、うーんと唸りはじめて顔をうつむかせてしまった。
(1度は壊されてしまった戦車。それをまた貸すというのは難しいと思うけど……
でもなんとしてでも貸して欲しい。なんたって3人の命だけではなく、地球の命にもかかることだから……!)

しばらくしたらおじいさんは、ちょっと困ったように、しかし決心した表情で顔を上げた。
「そこまで詳しく話をされたら……貸さないというわけにはいかんだろう。」
「はぁ。た、確かにそうですね。すいません。催促するような話をしてしまって。」
「いいんじゃ、いいんじゃよ。修理の手伝いをしてくれたお礼に貸してやろう。」
おじいさんのその言葉に、僕は思わずほっとため息をついた。テディのように話を分かってくれて嬉しい。
今思うと、3人が山に向かったことがずいぶん昔のことに感じた。いつの間にかテディへの怒りも消えてしまったようだ。
そんなことを思っていると、おじいさんはさらにこう続けた。
「ただし、じゃ。わしも一緒付いて行く。その仲間達に合流したら、コイツはすぐに返して欲しい。」
「え! そ、それはなんでまた?」
「さっきも言った通りコイツは一昔前の古い戦車。次壊れたらお終いじゃ。それでもわしにとっては命の次に大切なもんでな。
仲間達と一緒に乗っておったし、コイツもわしらの仲間じゃよ。仲間を思いやるお前さんなら、この気持ち分かるだろう?」
一瞬、命より大事なものではないのなら別にいいじゃないかと思ってしまったけど、とりあえず何も言わず頷いた。
「誰だって、昔の思い出は大切にしたいもんじゃ。」
おじいさんはそう言うと、腕を組んでうんうんと頷いた。

(ここで断ったら貸してもらえないだろうし、確かに壊れてしまったら、元も子もないし……)
戦車で最後まで行きたかったけど、ここはおじいさんの言う通りにしないといけないみたいだ。
「分かりました。一緒に行きましょう。仲間と合流したら、ちゃんとお返しします。」
「よし。それならいいぞ。あ、あ、でもせっかく直したのに、そこらの変な奴らに壊されたりせんじゃろうな……」
一度は力強く返事してくれたのに、またオロオロし始めたおじいさん。大丈夫かな……?
とにかく! 何とか戦車を借りることが出来た! これで皆のところに行ける。
色々と準備をしたいところだけど、僕の荷物はテディに持ってかれてしまってる。
借りている部屋の鍵は閉めたし、ニンテンのキャッシュカードはしっかりと今持っている。
無鉄砲だけどこっちには戦車がある。僕はこのまま山へ向かうことにした。

乗り込むと複雑な構造の操縦席が視界に飛び込んでくる。でも使い方は砂漠で乗った時にマスターしてしまった。
だから全然平気だ。こういうことは僕の本領発揮。僕はテキパキと発進の準備を整る
そして何かの隊長気取りで座っているおじいさんに声をかけた。
「それでは行きましょうか!」
「ほっほっ、目標はボウズの仲間達! いざ発進じゃ!」
そう力強く言ってくれた。僕はその言葉に頷いて、しっかりと前に向きなおす。
……おじいさんと僕じゃちょっと不安があるけど、ここは行くしかない! 皆に会うために!
僕は1回深呼吸をし、軽く頬を叩いて気合を入れ、前進のレバーをグイッと引いた。
ガクッと揺れるものの、少しずつ前へ進みガレージから出て行く。

水平線にゆっくりと沈む夕日を背にして、オレンジ色に照らされた古い1台の戦車は、
バレンタインの町並みの中を人々に注目させながらガガガガガガと派手な音を立てながら進み、
ホーリーローリーマウンテン方面の道を進んでいった。

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