君のチカラで!

ものがたり

勇気のかけら

新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14

1

「おい、そこのメガネ野郎。」
僕の手とは比べ物にならないくらい……大きい、手。
そんな手の人差し指で差された先は……僕、ロイドがいる。彼は僕を指しながらこう言い放った。
「お前は戦いには向いてねぇ。しばらくここで体を休めてな。」
「……!? ……な、な、何を言っているんだ!  い、一体どう言うことだよ。」
声を張り上げているのに、上擦った声になってしまう。
「だからさっきも言っただろ。オヤジとオフクロの仇をとりてぇんだ。」
「それは分かったけど……でも、僕が仲間に外れる理由はないだろう!」
さっきよりさらに大きくなった僕の声がライブハウス内に響いた。客の皆が一斉にこちらを向いた。
「ろ、ロイド落ちついて! 皆さんに迷惑がかかるわ。」
「そうだよ! そうだ、昨日泊まったホテルに行こう。話はそれからだ。……ほら、ロイドとテディ!」
ニンテンとアナが僕達……いや僕をなだめながら、ライブハウスの外へ連れて行く。
僕は事の発端とも言えるテディを睨んだままだ。テディの方は、サングラスをしているため、
睨んでいるのか、それともどこか別の方向を見ているのか……僕が見る限りでは、分からなかった。

(どうしてこんなことに……)
始まりはここ、バレンタインに来てすぐのことだった。
詳しいことはその時では分からなかったが、バレンタインでは有名なブラックブラッド団……
通称ブラブラ団と呼ばれる不良チームの一人と遭遇したことだった。ブラブラ団と呼ばれるだけあってか、
青い格好をした人が街の中をぶらぶらしていたが、僕達3人を見つけるなり近づいてきて、
「あー? なんだお前ら。見かけない顔だなぁ……へっへっ。ちょ~っくらヤキ、入れさせてもらうぜ。」
とニヤニヤ笑いながら、僕達に襲いかかって来たのだ。
(この人も、宇宙人によっておかしくなってしまった人?)
ここまで来るまでに、たくさんの一般人が襲いかかって来た。
それはみな、旅の最後に会うことになるであろう敵の宇宙人によるものらしい。
その人達は少しの攻撃を加えて、我に返す。……それが僕達の中の暗黙の了解であった。
だから仕方がなく、こちらも反撃したのだけど……
「げえぇぇ! ガキのくせに、つえぇ! ひょぇ~逃げるが勝ちだ!」
と言いながら、なんと一目散に逃げ出したのだ。

「あ、あれれ? 頭がおかしくなった人じゃなかったのかな?」
リーダー的存在であるニンテンが、意外なその結果に素っ頓狂な声で言いながらずれてしまった帽子をかぶりなおす。
「そうね……どちらかと言うと、自分の意思で襲ってきた感じだったわ。」
PSIの力によって、僕らにサイコシールド物を張り、ブラブラ団の攻撃を半減させたアナはそう言う。
「あの感じ……街の不良って感じだったよ。う~嫌だなぁ。」
そして僕ロイドは、顔をしかめてそう言う。不良とか弱い物いじめをする奴は、どうも苦手だ。
学校にいるときは、周りから弱虫だとかいろいろ文句を言われたり、陰口を言われていたかろだろうか?
……いやそもそも、誰だって好きになれないものだ。
「不良……か。なんだか厄介だな。他にもあんな人がいるかもしれない。」
ニンテンがそう心配そうに呟く。頭がおかしくなって、襲いかかって来たわけではない。今までにないパターンだ。
そして、ニンテンが心配した通り、ブラブラ団とは何度か戦う羽目になってしまった。
その結果、ブラブラ団のリーダー……テディに会う事に繋がったのだ。

次の日、ライブハウスに入った僕らは、「何か一つ歌ってみないか?」と店のオーナーに言われたので、
快く引き受けた。歌うことは苦ではない。むしろ楽しいことだ。僕らは早速ステージの上へ。
現在流行っている“All That I needed(Was You)”と言う歌を歌った。ノリのいい曲だ。歌っていると客が踊り出していた。
そして、歌い終わってすぐのことだった。どこからともなく拍手が聞こえてきて、体のがっしりした男がステージの前に現れた。
客がざわつき始めたので、僕らの頭のハテナマークが飛び回る。そして、その男は拍手をしながらこう言ってきた。
「いい歌を聞かせてくれたな、サンキュー。お前達か? オレの仲間を可愛がってくれたのは。」
「仲間? ……もしかして、青い格好をした……たしかブラブラ団だっけ? あの人達のことですか?」
いきなりそう言われたので、僕は何気なしにそう返した。
「そうだ。その様子じゃぁ……どうやらお前達だな! ゆるさねぇ! リーダーはどいつだ。思い知らせてやる!」
と、いきなり憤慨してきたので、僕は思わず体がビクッとなった。
あと数センチでも近ければ、その声に腰を抜かしていたかもしれない。

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