ものがたり
勇気のかけら
新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14]3
僕は詳しく知らないけど、90年ほど昔にも、ホーリーローリーマウンテンに怪しい黒雲が現れたらしい。
そしてそれと同時に、様々な町から失踪事件が発生した。ラップ現象も起こったようだ。
つまり今と同じようなことがあったらしい。もしかしたらこの90年の間、その宇宙人が潜んでいたのかもしれない。
(そう考えると、恐ろしいなぁ……その宇宙人。)
僕がそう考えていると、ニンテンが椅子からバッと立ち上がって、少し張り詰めた顔でこう言った。
「つまり敵討ちってことだね。」
「おうよ。山の道なら、大体分かるからな。そこんとも、任せてくれ。」
「うん、分かった。それなら。うん、それなら一緒に行こう!」
ニンテンがそういうと、テディはニッと笑い、
「そうか、きっといい不良チームができるぜ。」
と、再び二人は手をガシッと掴みあったのだった。
―久しぶりの新しい仲間、そしてとても頼もしい仲間が入った!!
僕ら三人は、そのことにとても嬉しさを覚えて喜んでいたが……
その新しい仲間テディが、あの言葉を言い放って状況は一変してしまった。
「おい、そこのメガネ野郎。」
そう言って、僕の目の前に指を突き刺す。
「お前は戦いには向いてねぇ。しばらくここで体を休めてな。」
そのとき僕はなんともいえない感覚が襲ってきた。頭の中心をまるでイカズチが通ったような感覚。
それが怒りと同じものだと分かったのは後の事だったけど、何がなんだか分からなくなり、
「……!? ……な、な、何を言っているんだ! い、一体どう言うことだよ。」
まさに無我夢中でそう叫んでいた。そして、今の現状に至る。
もともとライブハウスで色々話をするのも間違っていたかもしれないが、僕らはとりあえずホテルへ。
まだチェックアウトはしていなかったので、朝まで使っていた部屋へ入った。
部屋に入り、僕はもう一度テディに聞いてみた。
「さぁ、一体どう言うことだよ。」
するとテディも同じ言葉を返す。
「さっき言ったことを聞いてなかったのか? オヤジとオフクロの仇を取る。そう言ったんだ。」
「それは分かっているよ! でもなんで僕が残らなきゃいけない……ということさ。
戦いに向いてないって君は言ったけど、これでも僕はサンクスビギングからずっと旅を続けているんだ。
最初は訳も分からずニンテンに付いていったけど、町の人たちがなんだかおかしくなっているし、
見たこともないロボットが町の郊外にいたり、線路がふさがれていたり。
そしてアナのお母さんや、イースターの大人たちが今行方不明になっている。
それは全部宇宙人の仕業、というのは分かった。だからこそ! その宇宙人を倒さなきゃいけない。」
テディの発言に、僕は一気に思いをぶつけた。
思い……といっても、先ほどライブハウスで話したことをまとめただけなんだけど。
しかしテディは、さも気に入らないといった感じで鼻をフンッと鳴らし、
「だから、それがどうしたって言うんだ。」
「えっ?」
テディの意外な発言に、そっちこそどうしたって言うんだ! と反論したかったけど、
「おめぇ、なんだかんだ言ってただ英雄気取りでいたいだけじゃないのか?」
「なっ!?」
今度こそ反論したかったけど、光の反射でキラっと光ったサングラスの奥の目が見えたような気がした。
その目は凄い形相で睨んでいるようにも見えたし、何か奥に秘めたものにも見えて、僕は何も言えなかった。
「宇宙人を倒すって簡単に言ってるが、お前に出来たら、その辺の警察や何やらでとっくにやっつけてるさ。
そもそも……お前は何で旅に、この戦いに参加しているんだ? 一体どんな理由があるんだ?」
「それは……何度も言うけど、宇宙人を、た、倒すためさ。その被害は実際に目にしたんだし……
そ、それに、何も僕が残らなくてもいいじゃないか。女の子のアナのほうが残ったほうがよっぽど……」
なぜか僕は、強く主張することは出来なかった。テディから伝わる気迫に押されているんだ。
最初に会ったときの怖さがよみがえってきた。僕の弱虫な気持ちもそうだ。
(怖い……この人は、こういう人なんだ……)
僕の答えに、テディはさらに話を続ける。
「だから、それが英雄気取りでいたいんじゃないかって言うんだ。分からないのか?
お前がここまで来れたのも、そこに居るニンテンやお嬢ちゃんが居たからこそだろう。
聞いた話じゃ、実際に宇宙人の被害に遭ってる、そして超能力も使えるみたいじゃねぇか。
ニンテンに限っては、歌を忘れている女王と何か因縁があるみたいなんだろう?
きっと運命なんだ。こいつらじゃなきゃ絶対に解決できない問題なんだ。
そこにお前みたいな戦い方を知らねぇ奴が、ひょこひょこ付いて行って何が出来るんだ?
逆に足手まといになるだけなんだ!! だからしばらくここで休んでおくんだな。
……ふん。まぁ、あとは3人で話し合いな。俺は外で待っている。あと荷物は借りていくぜ。」
彼はそう言い、勝手に僕の荷物を持つとドアへ向かった。