ものがたり
勇気のかけら
新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14]8
僕は弱虫のくせに好奇心だけでニンテンについてきた。ロケットの事とか宇宙人のロボットとか。
でも想像以上に大変な旅になっている。正直なところ、サンクスギビングに帰りたい時だってあった。
それでもニンテン、それにアナが弱音を吐いているところは見たことが無かったんだ。
ニンテンは今回の事に凄く関わりがあるみたいだし、アナにいたってはお母さんが連れ去られているかもしれない。
二人とも、そう簡単には諦めてはいけない旅だから……そこで僕はふと、テディの言ったことを思い出した。
―お前がここまで来れたのも、そこに居るニンテンやお嬢ちゃんが居たからこそだろう。
(そうだ……僕は二人が居たからここまで来れただけで、本当は力も勇気も無いいじめられっ子なんだよな。)
すっかり自信をなくしてしまった僕。そしてこの先、どうすればいいか迷ってしまった。
(自信なくなっちゃったな…どうしよう、これから。せっかく来てくれたおじいさんにも悪いし…)
おじさんは僕の落胆している姿に気づいたらしく、慌ててこう言う。
「あ、まぁ、この辺の奴らがそんなに強いなら、もしかしたら戻ってくるかもしれないよ?
傷薬が欲しくなったり、先に進むのが難しそうだったら、無理しないで下山した方がいい。
……って言っておいたからね。その時のためにもここに居たほうがいいと思うよ。」
「そうですか! すいませんけど、お言葉に甘えさせてもらいます。」
おじさんの言葉に、ちょっと気持ちがほっとした。やる気がなくなってしまったけど、考えを改めることにした。
もし3人が戻ってきたら合流できる。ここまで来たんだ。今更戻るわけにもいかない。
それにここに居れば、町に居るよりもきっと役に立てると思ったからだ。
戦車に残っていたおじいさんを呼び、小屋でしばらく休憩させてもらうことになった。
気づけば深夜と言える時間帯になってて、昼間のテディの事や、戦車の修理と操作で心身共にクタクタだ。
少し仮眠を取って、起きたら暖かいコーヒーをいただいた。僕にはちょっと苦かったけど。
休憩したおかげで、疲れも気分もすっきりした。1日でいろんな事があったから、
ずいぶんと久しぶりに休憩した気がした。山に登っている3人には悪いけどね。
起きた後は、おじさんに僕達のことと地球の危機について話した。
ニンテン達から聞いたのか、大まかのことは分かっているようだった。
……それに。今となってはとてつもない事が起きようとしている事は、誰だって気づいている。
バレンタインの人達は、ホーリーローリーマウンテンがそばにあるから特にそうみたいだ。
そうしているうちに、外が明るくなり始めている。夜明けが近いらしい。
そんなにここに長くいたつもりは無かったけど、仮眠も取ったし意外に時間が経っていたみたいだ。
(もう朝なんだ……今までのことが1日の間にあったなんて信じられないな……
でも冒険を始めてからは、1日の間にいろんな事が起きるのは当たり前になってきたなぁ。)
「それにしてもまぁ、よくやるのぉーお前さんたちは。」
今まで黙ってコーヒーを飲んでいたおじいさんがいきなり喋りだしたので僕はビックリした。
「え? 何がですか?」
するとおじさんの方もうんうんと頷いて、
「そうですねぇ、まだ子供だというのに。」
「これが若さというやつか。わしも若かい頃はそりゃもう……」
おじいさんの自分の昔話が始まったようだけど、おじさんはそれを無視して僕に話し始めた。
「一言に地球の危機だって言っても、そう簡単に行動できるものではないからね。
この国の人達はきっとその異変に気づいていると思うんだけど、その現実に信じられない人が多いと思う。
それでも君達はそれを信じてここまでやってきた。そして君は友達のために一人でここまで来たわけだ。」
そこでまだ昔話が続いているおじいさんの方をチラッと見て、
「まぁ、あの人が協力してくれたからというのもあるだろうけどね。戦車なんて普通貸さないよ。
それは君が信頼されている証拠だね。あと、他の3人ももちろんそうだけど、君が一番勇気がある子だ。」
勇気があると言われてドキッとした。まさかそんな言葉がここで出てくるとは思わなかったから。
「そ、そんなことないです! 僕はニンテンにただ付いてきたみたいなもんですから。
始めは足手まといになっていたこともありましたし、テディに怒鳴られたときは怖くって……勇気なんて……」
「そうかな? テディはもちろん、彼らは何かしら事情があるみたいだけど、ロイド君は違うじゃないか。
それに今までしてきた事は君にとってはほんのちょっとかもしれないけれど、その一つ一つが重要じゃないか。
旅立つ勇気。敵と戦う勇気。テディと向き合う勇気。友達と別れる勇気。一人で行動する勇気。
そして何より、地球の危機と友達ためにここまで行動できる勇気。私にはとても真似できないよ。」