ものがたり
勇気のかけら
新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14]10
洞窟の中に入ってみると、道はとても細く、崖になっている。これは落ちたら大変だ……!
戦車だとほぼ真正面しか見れないのに、道はグニャグニャと曲がりくねっていて、分かれ道もたくさんあるようだ。
本当は早く進みたいのに、この道のせいで操作が慎重になって、どうしてもスピードが落ちてしまう。
それでも戦車のパワーは強い! 初めて見た新しいタイプのスターマンや脳が入っているケースに足の付いた……
そんな見た目が良いとは言えない変わった敵がこっちに向かって来るけど、あっけなく弾き飛ばされてしまう。
弾き飛ばされては、崖の下へ落ちてしまっているようだ。下はだいぶ深そうだし、落ちたらきっと壊れていると思う。
それでもこっちに向かって襲い掛かるのを見ると敵ながら健気と言うか、ちょっとだけ可哀想になってくる。
「悪いけど、君達にかまっている暇はないんだ!」
(一刻も早くここを抜け出して、みんなの元へ行かないと……!)
しかしその焦りと、道の複雑さが組み合わさってしまってか、なかなか出口を見つける事が出来ない。
こうなると急に不安になってきてしまう。つい僕は弱音を吐いてしまう。
「ど、どうしよう……出口はいったいどこなんだ……!」
そうやって迷いながら進んでいるうち、戦車で弾き飛ばした敵とは別に壊されたと思う敵の残骸がある事に気がついた。
(きっとニンテン達が戦って壊した奴だ! もっと早く気がつくんだった……!)
そう後悔しながらも、とにかく僕はこの敵の残骸をたどっていくことにした。だいぶタイムロスしてしまったと思う。
何かで殴りつけた跡がある敵、焦げ付いていたり、凍り付いている敵。そして刃物で切りつけられた敵……
間違いない。ニンテン達が戦っていた跡なんだ。それがどんどん続いている…まるでパンくずの代わりだ。
そしてついに、外の光が見える穴を見つけた。出口だ!
外に出て周りの状況を見る為にいったんハッチから顔を出してみた。周りはゴツゴツした岩肌、切り立った崖。
そして正面はちょうどバレンタインの町が一望出来るところだった。
洞窟の中でしかも戦車で進んだから良く分からなかったけど、どうやら結構斜面を登ってきていたようだ。
皆と別れてだいぶ経っているけど、3人は歩き。ここまでの距離となると、まだ追いつける可能性は十分ある。
その可能性を信じて再び戦車内に入ろうとした時だった。
―どおおおん!
「うわ!!!」
音が聞こえたほうを慌てて見る。ずっと上の崖の上からだった。あの青く巨大なロボットが……小屋の前に立っている!
もう考えている余裕なんてなかった! 改めて戦車内に入り、発進させた。
断崖だらけの景色。もちろん戦車じゃ登れないし、僕が直接登って行ったとしても、すぐに辿り着くのは無理だ。
それにさっきから今まで見たことのない宇宙人やロボットたちの姿が見える……いよいよ敵の懐って感じだ。
多分ここで僕一人降り立ったとしても……悔しいけど、無事に小屋まで無事に辿り着くとはとても思えない。
遠回りになってしまうけど、ここはこのまま戦車で進むしかない……
ガガガガガガと派手な音を立てて進んでいるのにもかかわらず、小屋のある方向からはドーン、ドーンと言う音が聞こえてきた。
あの巨大なロボットが何をしているかよく分かった。宇宙人も大変な物を作ったもんだ!
そのドーンという音が聞こえなくなったと同時に、やっと斜面を登りきり、小屋が視界に入ってきた。
でも小屋とは言えない位無残に壊されている。ロボットは満足したように、あの轟音を山全体に響かせながら飛び去っていく。
その轟音が小さくなって、ほとんど聞こえなくなったときに僕は壊された小屋の前へと辿り着いた。
「しまった! 間に合わなかった……!」
ロボットが飛び去った時からそんな予感がしていたけど、僕は目の前の光景にそうつぶやいた。
倒れているニンテンとアナ……服が汚れて所々破れている。そしてテディも。テディの方はひどい打撲の痕があるようだ。
今まで冒険してきた中で、一番ショックだった。嫌な予感が的中した……でもまさか、こんなことになるなんて!
僕達がどんな相手と戦っているのか漠然とした状態だったけど、どんなに恐ろしい相手なのかはっきりした気がする。
でもそれは僕がそうであって、3人は冒険をする前から大変な思いをしているんだよな……
ふとそう思ったけど、今はそんな場合じゃない。今はとにかく、今は3人を!
僕は戦車から飛び出して、近くにいたニンテンの所へ駆け寄った。ここまでボロボロになったニンテンは初めて見た気がする。
「ニンテン! しっかりして、ニンテン! ロイドだよ! 無事かい!?」
「……う……う~ん……」
顔をしかめながらも、返事をしてくれた。
(よ、よかった……! 気絶しているけど、なんとか無事だ!)
アナもニンテンと同じく気絶しているものの、無事だった。テディも一応は無事だったけど、やっぱり打撲や怪我があった。
あのロボットが立っていた場所を考えると、テディが2人をかばう様な状態だったようだ。
(たぶんが2人をかばったんだろうな、テディ……)
あのおじさんが言っていた通り、テディは仲間を思ってくれる信頼できる人のようだった。