君のチカラで!

ものがたり

勇気のかけら

新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14

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僕はその言葉に、呆然として言葉を失ってしまった。するといつもより早く心臓の音がどくどくと聞こえる。
(勇気がある? 僕が? 本当に?)
今まで生きてきた中でそんなことはもちろん言われたことはなかったし、自分でも思っていなかったから。
おじさんは気分が沈んでいた僕を励まそうとしたかもしれないし、単に素直に言ったかもしれないけど。
“勇気”だなんて、僕にとって一番似合わないその言葉に緊張してしまった。
そして僕はおじさんが言ったとおり、今までの様々な行動。それが次々と頭の中によみがえってきた。
あのときも。あのときも。あのときも!
「……本当だ。どうして僕は、そんなことをしてこれたんだろう……」
言うつもりはなかったのに、僕の口からは思わずそんな言葉が漏れてしまった。
それを聞いたおじさんは、やさしくにこっと笑って、
「ね? 今までのなけなしの勇気が一つ一つ集まって、ひとつの塊になっている。
それに勇気ある行動というものは、自分で意識するものではないし、その場で分かる物じゃない。
後になって行動を振り返って、どれだけ凄いことだったのか。それを私も君も今、分かったわけだ。」

本当は“なけなし”と言う言葉が分からなかったけど、なんとなく分る気がする。だから特に気にとめなかった。
今はこうやって立っている僕、ロイドが全く違うロイドとして立っているようだった。うん、そうだ。
小学校でみんなから小言を言われて、いじめられていつも一人屋上にいたロイドじゃない。
ニンテンにアナ…大切な仲間と共に旅をしてきて、何度も苦難を乗り越えてきたロイドなんだ。
テディに英雄気取りでいるんじゃないかって言われたけど、確かにそうかもしれないな。
もし一緒に冒険して昔と今の僕を比べたら、英雄気取りでいさせてくれるかい?

「僕、やっぱり皆を追いかけます!」
「えっ?」
「ここでじっとしていられない……皆頑張っているんだから、僕も一緒に戦わないと。
テディのことが怖かったけど……今度は大丈夫な気がします。」
おじさんはうーんと唸ったけど、
「そうだね。行ってきなさい。うん、やっぱりそうやって行動を起こすことが出来るのがロイド君の良い所だ。
ニンテン君達が残ってくれって言ったのも頷けるよ。テディもなんとなくそこを察したのかな?」
そういって笑いかけてくれた。よーし、ちょっと時間を取ってしまったけど、先に進むぞ!
「こら、二人とも! わしの話を聞いておらんかったな!」
おじいさんがやっとこっちの会話に気づいた。ずっと話していたのか……全然聞いてなかったよ。
「ご、ごめんなさーい。」

けれど、こうやってのんびり会話している場合じゃなくなってしまった。
―ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ……
「わ! な、なんじゃ?」
プンスカと怒っていたおじいさんが今度は轟音に驚いてオロオロしはじめた。
凄い轟音だ! 最初は戦車かと思ったけど、エンジンは切ってあるはずだし、音の方はどちらかというと、
どこか遠い……飛行機とかが飛んでいるような音だ。と言うことは空からだろうか。今の時間にこんな所に飛行機?
「一体なんなのじゃ。そういえば最近どこかで聞いたことのあるような音じゃな……」
おじいさんのその言葉に、僕も思い出した。
「そうだ! 砂漠の遺跡で出てきたあの巨大なロボット! それと同じ音だ!」
(なんだか、嫌な予感がする……!)
とっさにそう感じた僕は、小屋から飛び出した。世間はすっかり明るい。いつの間にか日が昇っていた。
そして眩しいけれど、空を見上げる。山の天辺から青色をした何かがゆっくりと降りてきている。
ここから結構距離があるはずだけど、その巨大さからはっきりと姿かたちが見える。
砂漠で戦ったあのロボットに間違いない! でも色が違うからきっと、別のタイプかもしれない!
「おいおい、ロイド君……」
遅れて小屋のおじさんとおじいさんが出てきた。でもかまってられない。言葉より先に体が動いていた。
戦車まではしってよじ登り、ハッチを空けた。そしておじいさんに叫ぶ。
「おじいさん! 戦車もう一度借りますね!」
「お、おい、待つんじゃ! わしも……」
おじいさんがそう叫んだ瞬間には僕はすでにハッチを閉めてしまった。
戦車に一人で乗るのは初めてだけど、操縦は完璧だし大丈夫。
(皆に会って、早くこの事を知らせないと……!)
もしあのロボットが3人の元に向かっているなら、大変なことだ!生身ではきっとかなわない。
戦車が再び派手な音を出しながら前進する。今までの道よりいっそう木が生い茂っている道を順調に進む。
しばらくすると洞窟が見えてきた。きっとあそこから登っていくんだ。
「頼む、間に合ってくれよ!」
そう願いながら僕は、その洞窟へと入った。

「おじいさん、あの子一人で操縦できるんですか?」
「困ったことにできるんじゃなぁ……大したもんだよ。」

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