君のチカラで!

ものがたり

勇気のかけら

新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14

11

手持ちの傷薬じゃとても3人の怪我を治しきれそうじゃない。とにかくここから早く運び出さなければ。
そう思ったけど、ある問題にぶつかった。この冒険で少しは力の付いた僕だけど、ぐったりとして動けない人を一人で戦車に乗せる……
ニンテンとアナは頑張れば何とか運べるかもしれないけど、テディは体が大きい。僕一人では無理だ……!
(ふもとまで戻って、おじさんたちを連れて……いや、でも3人をこのままにしておくわけには……しまったな。)
これからどうするべきか悩んでいると、壊れた小屋の瓦礫からガラガラガラと音がした。
もしかして敵!? そう思って身構えたけど、瓦礫の中からなんと人が出てきた! あいたたた……と言いながら、服の汚れを払う。
そして顔を上げた。顔も汚れてしまっているけど、とても人の良さそうな顔。ヒーラーさんだ!
「ヒーラーさんっ!」
「んー? あ、あああ! なってこった!」
僕に呼ばれてこっちを向いたら、視界に入った倒れた3人を見て、瓦礫につまずきながらも慌ててこっちに走ってきた。
「なんてことだ! ああ、こんなに傷ついて……」
「ヒーラーさん、何とか治せませんか!?」
地獄で仏って言葉は、きっとこういう時に使うんだ。ヒーラーさん、まさかこんな所にも居るとは。
ヒーラーさんなら、少しでも回復が出来るんじゃないかと思ったけど、ヒーラーさんの顔は曇ったまま。
「そ、そうしたいところなんだが……彼らがここに来た時、かなり疲れているようでね。相当体力を消耗しているようだった。
だからそれを治してあげるために、私の力はすべて使ってしまったんだ……」
ヒーラーさんはそう言うと、ガックリとうな垂れてしまった。ヒーラーさん自身も瓦礫の下敷きにされて、疲れていると思う。
強力なPSIでも、使う力が残っていなければどうしようもない。
辛そうな顔をするヒーラーさん。こんな状況で力になれないのはさぞかし悔しいだろう。
でも、この状況でどうしようも出来ないというのは僕も一緒……いや、違った!
ここはとにかく3人を運び出す。今、僕に出来る唯一のこと。
「ヒーラーさん、手伝って! この戦車は僕が乗ってきたものです。これで山のふもとまで3人を運びます!」
「き、君が! ひ、一人でかい?」
「そうです。僕一人で山を登るのは無理だと思ったので……」
「どうしてこんなものを……」
「もちろん借り物ですよ! ああ、今は説明している場合じゃ……さぁ、早く戦車の中へ!」
「わ、分かった!!」
戦車の存在に驚きつつも、ヒーラーさんは力強く頷いてくれた。

「いきますよー……せーのっ! よっ」
「こいせーっとぉ!」
僕とヒーラーさんは最後に渾身の力を込めて巨体を持ち上げる。体が大きく、体重も重いテディを運ぶのは一苦労だ。
戦車の中はすでに乗せたニンテンとアナも居て人口密度が高くなった。そこにテディも加わり、ギュウギュウだ。
何とかテディを戦車まで運ぶ事が出来た。その瞬間、僕とヒーラーさんは疲れてそのまま座り込んで、しりもちをついた。
山の上だからこの辺はうす寒い温度だけど、すっかり汗びっしょりになってしまった。
「はぁはぁはぁ~つ、疲れた。ヒーラーさん……ありがとうございました。」
「はぁはぁはぁはぁ……」
息を切らして言葉の返事はなかったけど、いやいや、いいんだと言いたそうな感じで手をヒラヒラさせるヒーラーさん。
疲れている所にこんな力仕事を手伝ってもらったけど、僕一人じゃとても出来なかったから助かった……!
さぁ、早くふもとまで戻って、手当てをしてあげないと!
「よ~し。それじゃぁ、ふもとまで行きましょう! ヒーラーさん、どこかに掴まってて下さい!」
「あ、ちょ、ちょっと待ってくれ! わ、私は降りるよ。」
「ええ、何で!」
ヒーラーさんのその言葉に思わず驚いたけど、ヒーラーさんは荒い息を深呼吸で何とか抑えたあと、真剣な顔でこう言った。
「君達はまた、ここに戻ってくるんだろう?」
僕らにとって最終目的であるこの山。どうしても登らなきゃいけないから戻ってくるのは確実だろう。
「ええ、そうですね……戻ってくると思います。」
「だろう。まさかこんな若い子達が頑張ってるとなると私もこうしちゃおれん。力になりたいんだ。
だから君達が戻ってくるときまでに、またここで休憩できるように片付けておくよ。」
「で、でも、小屋はバラバラに……」
「なぁーに! 元々あれだって私が建てたんだ。小屋の1個や2個、どうって事ないさ。何とか準備しておくよ。」
本当はどうって事あるんだろうけど、ヒーラーさんはそう言ってくれた。
そして立ち上がるけど、今にも倒れそうなほどフラフラだ。
「はは、もちろん少し休憩してからだけどね。」
と、苦笑いをした。
「分かりました! 本当にありがとうございます……! きっと皆で戻ってきますから!」
ヒーラーさんを降ろしたあと、僕は戦車を発進させ、バラバラになった小屋をあとにした。

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