ものがたり
勇気のかけら
新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14]7
―西・バレンタイン
東・ホーリーローリーマウンテン
街のはずれに行くと、そう書かれた看板を見つけた。川を渡った後、林の中を進めばいいようだ。
辺りはどんどん暗くなっている。早くしないと、3人に会うのが難しくなるかもしれない。
夜が近いこの暗闇の様子を見て、僕は3人は今頃どうしているのかな気になってきた。
山は今まで以上に敵が強いと思う。そんな中、山で野宿をしてしまったらどうなってしまうだろう。
そう考えると、怖くなってくる。最悪の結果も考えてしまうから……
(とにかく急がなきゃ。)
僕は改めてそう強く思った。
道の両側が木だらけになったきた。町を抜け、林の中に入ったみたいだ。
町を出た事だし、僕は少しスピードを上げることにした。さらに騒音が響き渡る。
林の中は暗い。町の中心部と正反対だ。今は騒音でうるさいけど、本当なら静寂が広がっていると思う。
明らかに敵意を持った動物達や怪しく光るロボット達の姿が見えるけど、そんなのお構いなしに進む。
この戦車なら、大抵の敵ではビクともしないだろう。無敵と言ってもいいと思う。
現に戦車が近づいてくるとすぐ逃げる動物。飛び掛ってくるけどすぐに無残に砕けるロボット。
「お前さんも派手にやるのぉ。」
外の光景とおじいさんの言葉に、僕はちょっとした悦に入った。
しばらく林を進んでいると、少し先で明かりが見える。どうやら家があるらしい。
(家の明かりがはっきり見えるほど暗くなっていたのか……)
と思ったけど、近づいてから家と言うより小屋と言うのに気がついた。
(3人の事を教えてもらえるかも。いや、もしかしたらあそこで休んでいるかもしれない。)
そう思った僕は、とりあえずおじいさんに確認を取る。
「おじいさん。いったんあの小屋に立ち寄っていいですか?」
「んー? なんじゃ、トイレ休憩か? 別にいいぞ。」
別にそうじゃないんだけどなぁと思いつつも、いったん戦車を止め、戦車から降りた。
「ああ、あの3人の子供達か。確かに何時間か前にここに立ち寄ったよ。」
小屋には人の良さそうなおじさんがいて、僕を温かく迎え、3人の事も教えてもらった。
……テディの事をニンテンとアナと一緒に子供と表現したことにちょっと驚いたけど。
「やっぱり……僕、3人の友達なんです。僕だけ町に残るのが忍びなくって、合流しようと思っていたんですが。」
以外にも3人は順調に先に進んでいた。もしかしたら黒幕の懐までに近づいている可能性もある。
戦車は合流したら返すと言う約束だけど、もしかしたらもっと先へ進むことになるかもしれない。
戦車を大事に思うおじいさんのことを考えると、早く返してあげたい。
ここは3人がその黒幕のところまでに行ってない事を願って、とりあえず先に進んだほうが良さそうだ。
「そ、それじゃぁ3人に追いつく為にも、もう行きますね。この辺の敵はかなり強いみたいで、心配ですからね……」
僕は先を急ごうと入り口のドアへ移動したけど、おじさんが呼び止めた。
「うーん、そこまで心配しなくていいと思うよ。休憩もしたし、傷薬をたくさん渡したし。」
「そ、そうですか?」
そう返事した僕だけど、やっぱり不安は拭いきれない。
黒幕である宇宙人の手下、操られた動物達は容赦なく次々と襲ってくる! それは身をもって実感している。
「3人はともとても頼もしそうな子達だ。それにテディも居るからね。」
おじさんの言葉から出てきたテディの名前に僕は驚いた。
「あれ? 彼のことを知っているんですか?」
「もちろんさ。この町で彼を知らない人は居ないんじゃないのかなぁ?
喧嘩が昔から好きで乱暴なところがあるけど、仲間や親想いで結構信頼があるんだよ。
今は亡くなった両親の事で態度がちょっと荒れてしまっているけど……ね。」
「そう、ですか……」
確かに。不良チームのリーダーと名乗っている割には、親の仇を討ちたいと言っていた。
見知らぬ子供達でも一緒に行きたいほどだから、きっと相当の思いがあるんだろう。
そして……かなり無理やりだったけど、僕を山に行くことを引き止めた。
言い方がきつかったから、今でもずっと心に本当に信頼することが出来るのだろうか?と思っていた。
凄く怖かったけど、そんな強気な態度が逆に周りの信頼を集めているのかもしれない。
そう思うと、僕もテディはそんなに悪い人ではない。と思ってきた。そして同時にこうも思った。
(やっぱり僕が出る幕でもないのかもなぁ。)
勢いでここまで来てしまったことに、少しずつ後悔の気持ちが浮き上がってきた。
(やっぱり……町のほうで待っていたほうがよかったのかな?)
そしていつの間にか山を登り、皆と合流するというやる気がなくなっていった。
まるで舞い上がる炎が、水によって一瞬に消えてしまったかのように。