ものがたり
勇気のかけら
新たな仲間、そして突然の別れ。また一人になってしまったけど…今の僕は、昔の僕とは違った。 [◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 ◆11 ◆12 ◆13 ◆14]2
(こ、恐い!!)
そう思った瞬間、ニンテンが僕をかばう様に前へ出てきて、
「ちょっと待ってくれ! ……リーダーは僕だ。あなたは一体誰ですか!?」
「俺か? 俺はブラブラ団のリーダー、テディだ。そうか、お前がリーダーか。それなら……行くぜ!」
そう言うと、ニンテンに殴りかかってきた! しかし、野球や今までの旅で鍛えてきただけある。彼はスラリと避ける。
テディが反動でこけそうになっている中、ニンテンは少し困った顔をしたが、状況が状況だからだろうか。
拳をぎゅっと握ると、彼もまたテディに向かっていったのだ……
しばらく取っ組み合いが続いた。アナはさすがに見ていられず、両手で顔を覆っていた。心なしか震えている様だ。
僕はついに腰を抜かしてしまったが、殴り合いのようなものではなかったためか、なんとか二人の争いを見ていた。
お互い体型が違うこともあってか、ニンテンとテディは互角の様に見える。
「うーうううううー」
「ぐぐううううううぅぅ……」
二人とも辛そうな声を出しながら体を押し合っていたが、さすがに何分もの奮闘に疲れてしまったのか、
どちらとも無くドスーンと腰を付いてしまった。その音に、顔を覆っていたアナがついに手を離した。
「だ、大丈夫……ニンテン?」
アナと僕がニンテンに駆け寄ってみたが、ハアハアと息が荒いけどニッと笑って、
「な、なんとか。」
そういってみせた。一方テディの方も息を荒くして、僕らのほうを見ていたが、急に笑い出し、
「アハハハハ、大した奴だ。……ニンテンって言ったけな。ドロウにしねえか…?」
「そりゃもちろん……これ以上はもう無理。」
「フン、俺だってそうさ。よっと……ほらよ。」
テディは起きあがると、でっかい手をニンテンの前に突き出した。ニンテンはその手をガシッと掴み彼も起きあがった。
「ほらほらお前さん達、もういいだろう? いい加減にステージから降りてくれよぉ!」
店のオーナーのおじさんは、それはもう困った顔でそう叫んだ。確かにステージで一悶着があるとは、非常にはた迷惑な事で。
僕達はとりあえずステージから降り、部屋の隅のテーブルに座った。
(人の縁って、不思議なものだなぁ……)
テディとは数分前には争ったのに、今ではもうこうやって一緒のテーブルにいる。僕はしみじみそう思った。
「それにしても、俺の仲間たちを追っ払うとは。お前ら一体なんなんだ? まぁ、ニンテンは十分強い様だが。」
テディは当然と言うべきだろうか。僕達にそう質問を投げかけてきた。
僕達は顔を見合わせた。ここは話すべきだろう。今……地球で起ころうとしている事を。
僕らの旅に協力、そして理解してくれる人と言うのは、とてもありがたい存在なのだ。
「今から私達が話すこと……信じてくれますか……?」
アナが辛そうな声でそう言った。彼女の母は行方不明になっている。辛いのも当然だろう。だからこそ旅に出ているのだ。
「……なんか訳ありっぽいな。ああ、もちろん信じるよ。ほら、お嬢ちゃん。話してみな。」
僕達は話した。マザーズディで起こったラップ現象の事、動物や大人達がおかしくなっている事。
アナのお母さんやイースターの大人達が行方不明になった事。そして、それは宇宙人が起こしている。
解決するためには、どうやらクイーンマリーの忘れているメロディーが関係している……
宇宙人がいると思われる場所……最終目的地がここバレンタインのを経由して行けるホーリーローリーマウンテン。
僕らは、そのメロディーを集めつつ確実に最後の敵の元へ近づいてきている。そのためにここまで来た……!
とりあえず大まかなことを話してみた。普通ならば、信じられない話だと思う。テディは本当に信じてくれるのだろうか?
テディは腕組をし、しばらくうーんと唸ってから、
「宇宙人……か……」
と呟いた。やっぱり信じてくれないか? そう僕らが不安な顔をしていると彼は慌てて、
「あ、信じねぇってわけじゃねぇぞ。なんていうか……あること思い出しちまって。」
そしてまた腕組をしてうーんと唸り始めた。そしてしばらくしてから、こう言ったのだ。
「なあ。俺も一緒に山に行っていいか?」
「えっ。それって……」
ニンテンが目をまん丸にして驚いて言った。アナも僕も同じように驚く。
「ああ、一緒にその宇宙人退治に行かせてくれよ。」
(でも、なんでまた……)
僕がそう思ったのを分かったかのように、テディはこう続けた。
「実はな、俺のオヤジとオフクロ。あの山で死んじまったんだ。へっ、そんな顔するなよ。もう何年になるか……
世間には事故ってことで片付けられたが、俺は知っているんだ。事故じゃないってことをな。」
その原因が、宇宙人だと言いたいのだろう。確かに一理あると思う……