君のチカラで!

ものがたり

To a child important thing

将来の夢…ずっと思い続けてきた強い意思が、ふと弱気になってしまうことだってある。 [◆1◆2◆3◆4◆5

3

―僕はとっとっとっと…とリズムよく階段を降りていった。午前6時50分。
学校は休みだから、起きるにはちょっと早い時間帯だ。
おそらくトレーシーはまだ寝ている。多分ママだけリビングにいるはずだ。
ほら!!案の定、ママはソファに座ってコーヒーを飲んでいた。モーニングコーヒーといった方が良いかな?

「あら、ネスちゃん。グット、モーニィーグッ!!」
「おはよう!ママ。うん、いい朝だよ!!」

ママも僕も朝から元気な声を張り上げた。まぁ、親子だからね!
ママは昨日とはうって変った僕の表情を見て、優しく、穏やかな表情になった。

「ネス、疲れは取れたようね。早いけど、朝ご飯作りましょうか。トレーシー起こしてきてちょうだい。あとチビも…」
「あ、ママ!!ちょっと待って。」

―僕は待ったをかけた。…そう。ある人に聞きたい事それは…ママだった。
さっきの夢を見てどうしても聞きたいことがあったからだ。

「ママ、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
「あらあら…何かしら?あ、昨日のハンバーグの味?バレちゃったのね。ごめんなさい。
実はひき肉ちょっと足りなかったから、タマネギちょっと多めに入れちゃったの。」

ママらしいコメントだ。僕はソファにどかっとママの隣に腰掛けた。

「あはは、それもそうだけどさ。1度だけ…ママにどうしても聞きたかったことがあるんだ。
…ママはさ。いつも元気で明るくて。つらい時ほどグットな笑顔を見せてさ。
パパはそんな所が素敵だって言ってた。内面的な所がね。強いって。
僕はつらい時ほど沈んだ顔しちゃうよね。どうして…そんなに明るく振舞われるのかな?ママは…」
「ネス…」

僕からこんな言葉が出たことにちょっとびっくりしている様だ。…そりゃそうかも。

「そうねぇ…ママにもよく分からないわ。でも、つらかったり何か失敗したからと言って…
そんなに暗くならなくても良いんじゃないかしら?もちろん、失敗した時とかは反省は必要よ。でも、つらい時はどう?
昨日のネスちゃんはずーんと沈んだ顔。でも、さっきのネスちゃんのように元気で明るい方。そっちが良いでしょ!
それなら早く立ち直れる、周りもみんな元気になれる。一石二鳥じゃない!ね?
何事も逃げちゃいけないわ。それをしっかりと受けとめて。そして、ニッコニコの笑顔でそれを吹き飛ばすのよ!!」

―ママはそう言って、ソファからぴょんと降り、んんーと背伸びした。
驚いた。そしておかしくもあった。だって、僕の行動と同じパターンじゃないか。
ママは思いっきり背伸びをして、大きく溜息を吐くと、

「さぁ、ネス。今度こそご飯にしましょうか。もう聞きたい事はないかしら?」
「あ、もう一個!…ママって子供の頃の将来の夢ってなんだったの?」
「…」

あれ?まずい質問しちゃったかなー?と思った。だってママの笑顔が消えちゃったからだ。
も、もしかして怒られる…??僕が内心ヒヤヒヤしてると、ママは何か思いついたようで。

「そうだ!ネス。あなたの将来の夢をかなえたら…ママの子供の頃の将来の夢はなんだったか教えてあげるわ。」
「えぇ?そんなのないよー!もし、夢がかなわない…野球選手になれなかったら、教えてもらえないんでしょ?」
「あら。それはどうかしら?昨日、今日と一生懸命に悩んだのにまだいろいろ言うのかしら。
また大きな壁にぶつからない限り、あなたはその夢をあきらめないはずよ。ね?そうでしょう。」
「あっ…!」

―そう、ママは分かっていたのだ。
ママは昨日の夜、僕の部屋の前まできていたそうだ。そうとう僕、暗い顔をしていたらしい。
少しでも元気付けようとしたみたいなんだ。でも、僕はベットの中であの言葉を言った。
もう、僕…野球なんて嫌いだ。野球選手の夢はあきらめよう……”
それを聞いてしまって、部屋には入れなくなったそうだ。ここはしばらくそっとした方がいい…そう思って。
でも、次の朝…今日だ。僕はすっかり明るい顔になった。ママのように。
だから、それを信じて。野球選手になれたら教えてあげると。一種の賭けみたいな物なのかな。
ママの子供の頃の将来の夢を知るには、もう数年待つしかないようだ。

「うふふ、やっぱりママの方が上手(うわて)ね。さぁさぁ朝ご飯!!トレーシーとチビを起こしてきて。」

―まだまだ子供だからわからないこともあるけれど。
でも、1度なろう!と思った夢を、そう簡単にあきらめちゃいけない。
いつまでも暗い顔で落ちこまず、たまにはにっこり笑顔を見せる事。それだけは分かった。
うん、やっと昨日のことを忘れそうだ。さっきよりもっと気が楽になった!!
えへへ…僕って、少し大人になったのかな?

―こんな事があって、次からの試合のは僕はヒットを打ったりナイスプレーをした。
もちろんホームランだって打った。あの試合で打てなかった分を返すようなホームランを。
そして…僕は野球以外にするべき事が出来た。それは…地球を救う旅。
僕の中に眠っていた大きな力が目覚め、地球と人類の運命を背負う事になった。
でも、それは僕だけじゃなかった。今となっては、大事な大事なお友達だ。

―そして今。僕らはサターンバレーにいる。

「ネス。眠れないの…?」
「あ、ポーラ…うん。明日いよいよギーグの所へ行くと思うと…なんだか眠れなくって。」
「そうね…私も。」

―僕達は旅のクライマックスを迎えようとしていた。最低国と言う場所へ行くらしい。
明日になればスペーストンネル?…だったかな。それが完成するみたいで。
声をかけてきたのはポーラ。はじめて仲間になった女の子だ。僕に次いで冒険の期間が長い。

「ねぇ、ジェフとプーは?」
「ジェフは相変わらずスペーストンネルを作るのを手伝ってるわ。プーは高台の方に行って瞑想してるみたい。」
「そっかぁ…僕達やる事ないね。うーん、寝る事ぐらいか。」
「ふふ、そうね。寝ようにも寝れないしね。」
「せめて…なんかやる事ないかな…?……」
「ずっとただ起きていてもなんだし、どせいさんからちょっとお茶もらおうかしら。ネスも来る?」
「…」
「??ネス?」
「あっ、ああ、ごめんごめん。あ、僕、ちょっとやる事あったよ!あとからまたそっちに来るから!じゃあ!」
「あ、ネス!?」

すっかり忘れてたと言うかなんと言うか。大事なことを忘れていたよ。
明日、最後の敵と戦う。こんなこと考えたくないけど…もしかしたら、し、死んじゃうかもしれない。
でも、ここまで来たら後に引くことは出来ない。僕だけではなく、他の3人だって同じだ。
スペーストンネル2を作るための重要な材料となった物質X…なんだっけ?うーん、忘れた。
その物質なんとかかんとかを持ってくるときに、オネットに行ってママたちと会った。
ツーソンに行ってポーラの両親にも会ったし、プーの故郷ランマにも行った。ジェフは…今、博士と会ってる。
あと、会っていないのは…
―僕の…パパだ。

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