君のチカラで!

ものがたり

まぁ、いいか


パタパタパタ……

リュカが足に手紙をくくり付けたハトを飛ばした。ウエスじい宛らしい。
ダスターが見つかった時は飛ばして欲しいって言われていたみたいだ。
そう! 3年前、行方不明になったダスターがやっと見つかった!
まさか記憶喪失になって、こんな所でベース弾きになってたなんて思いもしなかったぜ。
ちょっと時間がかかっちまったけど、ダスターを連れ出すことが出来たし、リュカにもまた会えた。
女の格好をしたり、うっふんとか言ったりメチャクチャ嫌だったけど、我慢した甲斐があったぜ。
それにハミングバードのタマゴの行方も分かった! 絶対に取り戻してやる!

ハトを見送ったリュカがこっちを振り返った。
「ダスターさんを探すつもりで来たけど……まさかクマトラヒメにも会えるなんて思わなかったよ。」
「オレもまさかチチブーでリュカに会えるとは思わなかったな。でもまた会えるだろうとは思っていたんだ。
それからリュカ。これから一緒に行く仲間なんだから、クマトラ、でいいよ。」
別に姫って言われるのが嫌ってわけじゃないけど、一緒に行動を共にする仲間だから名前だけで呼ばれたかった。
でもリュカは名前だけで呼ぶことがどーこーじゃなくって、別なことを言ってきた。
「あれ!? “クマトラ”が名前だったの??」
「当たり前じゃねーか……って、何だと思ってたんだよ?」
「僕はてっきり“クマトラヒメ”で名前かと思ってた……ウエスさんがヒメヒメ言ってたし。」
「なーに言ってんだよっ! それはオレがオソヘ城の姫だからで……」
オレが説明しようと思ったら、クラブ・チチブーとの別れを惜しんでいて今まで黙っていたダスターが反応して、
「え……君ってお姫様なの……?」
って言いやがった。いくら記憶失ってるからって! しかも顔が冗談はよせやいって顔してる。
と思ったら、その顔がニヤッてなった。
「そんな冗談はヨシコシ……なんちゃって。」
……!!! こんなアホは無視無視!

「という訳で、オレはオソヘ城の姫なんだ。だからウエスじいがヒメって言ってたんだよ。
よく考えたら、オレに会うまでは姫がいるなんて知らなかったんだろ? 呼ぶ習慣も無かったんだよなぁ……
だから“クマトラ”と“ヒメ”が別だってことがピンとこなかったんじゃないのか?
3年前だってちょっと会話しただけだったし。勘違いして覚えたんだなぁーリュカ。」
「そうかー僕の勘違いかぁ。でも今までずーっとクマトラヒメが名前かと思ってたのにな~」
リュカはとりあえず納得したみたいだ。うーん、こいつ結構天然なんだな。
「ま、そう言うわけだからさ。クマトラって呼んでくれよ。」
「う、うん。クマトラヒ……あ、違う。ク、クマトラ……なんか慣れないなぁ。」
(な、慣れないって……ただ“ヒメ”を付けないだけじゃないかっ!)
オレが内心ツッコミを入れたけど、リュカは一人で納得して、
「うん! やっぱり“クマトラヒメ”の方が僕にはしっくりくるよ。それでいい?」
「ちょ、おい! それでいいっておまえなぁ……」
でも別に間違っているわけじゃない。笑顔でそんなに言われてしまっては……まぁ、勘違いはとりあえず解けたし。
「はぁーまぁいいよ。お前がそれでいいんなら、さ。」
オレは仕方がなくそれで了解することにした。否定する理由も無いしな……
どうせなら名前だけで呼ばれたかったんだけどな。まぁ、いいか。
「やった! よろしくね、クマトラヒメ。」
「ああ。こちらこそ、リュカ。」

なんかアホやっちまったけど、こんなことしてる場合じゃないんだよな。
さぁ! 目指すはシトシラズの滝だ!

「ワンちゃん。そんな冗談はヨシコシって、面白くないかな? 冗談はよしなさいって意味なんだけど。」
「く、くぅ~ん……」
(ぼ、僕にふらないで……)

◆ 遠慮がちにあとがき。
小説にするまでも無いと思ったけど、リュカの仲間の呼び方inじーくうの考え的みたいな。
クマトラは“クマトラヒメ”、ダスターはさん付けで。2章でそうでしたし。
ちなみにこの内容は風呂に入っているときに思いつきました(笑)ろくでもないな。
リュカとダスターがアホの子になってしまった…
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